【あたみのひと】 市来 広一郎

 あたみのつかいかた Vol.1 より、インタビューをご紹介します。
 
【あたみのひと】interview 1 
市来 広一郎(Koichiro Ichiki)
『クリエイティブに生きられるまちをつくるためにまず、自分が動く』
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*プロフィール*
NPO法人atamista
株式会社machimori 代表
熱海で生まれ育ち、大学卒業後は4ヵ月かけてアジアやヨーロッパを放浪。東京でビジネスコンサルタントとして働いた後、2007年に熱海へ戻りNPO法人atamistaを設立。補助金に頼らないまちづくりを目指して株式会社machimoriを立ち上げ、昨年7月には銀座通りにCAFE RoCAをオープンさせた。
 
 
「100年後も豊かな暮らしができるまちをつくる。これが僕らのミッション。単に観光客を増やすのではなく、自分たちや子ども世代が仕事場や暮らす場所として豊かに使いこなせるまちにしていきたいと思っています」
 
これは、市来広一郎がリノベーションシンポジウムで語った言葉だ。大学時代、実家に帰るたび暗くなるまちを見て抱いた「どうにかしたい」という思いは、東京で働くうちにより強くなったという。
 
「ストレスの多い都会、経済的に疲弊して人がいなくなる地方、どちらにも未来はない。でも、東京に近い熱海だからこそ、新しい豊かな暮らし方が提案できるんじゃないかと思ってUターンを決めた」
 
そしてNPO法人atamistaを設立。同時に悲しい現実も知った。
 
「地元を悪く言う人があまりに多くてね。でも、原因は地元のことを知らない、知っていても価値を感じないことにあると気づいた」
 
そこで、地元の人に向けた体験ツアー『オンたま』を開始。中心地再生に向け、「まず自分たちが動き出そう」と空き店舗をリノベーションし、2012年には銀座通りにCAFE RoCAをオープンさせた。現在は、ここを拠点に「クリエイティブな30代に選ばれるまち」を目指した空き家の活用に取り組んでいる。
 
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「僕らの言うクリエイティブは、職業のことじゃない。年齢や職業、性別も関係なく、人生をクリエイティブに生きようってこと。CAFE RoCAがそのきっかけの場になれたらいいと思ってる」
 
仕事場とも家とも違う場所と出合うことで視野が広がり、世界が変わるきっかけになる。そんな思いや情報を発信しようと創刊したのが「あたみのつかいかた」だ。
 
「農家さんとの商品開発、クラフトマーケット、路上イベント……やりたいことは、まだまだある」
 
そう言って目を輝かせる彼は、今日も熱海のまちと人をつなぐ。