あたみのひと interview 遠野 秀子さん
2016年1月22日 15:44pm
あたみのひと interview
遠野秀子さん
訪れる人だけでなく
作家同士も交流できる
マルシェは大切な場所
(プロフィール)
熱海生まれ。2004年に女子美術大学工芸学科(陶)を卒業後、栃木県益子の製陶所に勤務。作陶の修行を積み、2008年に益子で独立。2010年からは地元・熱海に築窯し作陶活動を行っている。8月には東京・西荻窪で、12月には函南町にある『KURUBUSHI-BASE』での展示を予定。■ブログ「泉のいしきりば」http://izumi4.at.webry.info/
「ずっと“熱海にマルシェがあったらいいのに”と思っていたんです。ないのなら、自分で企画しようと思っていたくらい」と笑顔で語る陶芸作家の遠野秀子さん。
第一回目のマルシェに参加したのは、地元に戻って二年が過ぎた頃。益子や東京での仕事が多く、地元の状況がつかめずにいたという。
「作家さんの数に驚いたし、お互いに交流も生まれました。マルシェが地域に根づいて、サロンのような場所になればいいなと思っています」
大学では彫刻やレリーフを制作していたという遠野さんが器を意識したのは、22歳の頃。働いていたアジアンフレンチのお店で、料理の盛りつけと器が融合する美しさを知り、作陶の道を志して益子へ。器には、「地球」や「種」など有機的なテーマがつけられているのも印象的。
「学生時代、カンボジアで植物と一体化した遺跡に衝撃を受けて以来、“自然との融合”がテーマのひとつ。自然のなかに置いても違和感のない器をつくりたいと思っています」
器は、つくり手である作家の手指そのもの。遠野さんの器は手に取るとやさしく馴染み、料理の盛りつけが楽しみになるものばかり。
「ひとつひとつが違う存在なので、ぜひ触って自分の手にあう器を選んでほしいですね。それに、器は料理をのせて完成するものだと思うので、どんどん使ってもらえたら」
マルシェでは、来場者と言葉を交わすのも楽しみのひとつ。
「以前にも来てくださった方が足を運んでくれるのがすごく嬉しい。自然と感覚の似ている人が集まるのもマルシェの面白さだと思います」
今後は、蹴ろくろや野焼きなど、機械に頼らない陶芸に挑戦していきたいと語る。また、気軽に土器に触れられるワークショップの構想も。
「やきものが土からできることを知り、身近に感じるきっかけになれば」
こうして、またひとつ、マルシェの楽しみが増えていく。